ナウハウス所長の鈴木です。今何を感じ、どのように建築に向き合っているのかを伝えていければと思います。
ナウハウス一級建築士の高橋です。設計を通して感じたことや現場の進捗を気軽に綴っていきたいと思います。
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メキシコと米国西海岸の旅
2006-06-28
建築雑誌で知ったTHE JAMの企画の「メキシコと米国西海岸の旅」に行って来ました。1978年のアメリカとヨーロッパの一人ぼっちの建築貧乏旅行から、4半世紀を経てロサンゼルスに降り立ったことになります。空港のサーリネンの展望台をふたたび感慨深く見ることができました。ラ・ホヤでは、前回の旅では遠すぎて見ることができなかった、カーンのソーク生物学研究所を見ることができ、建築の確かさに感動しました。
しかし、なんといっても今回の旅の収穫はメキシコのバラガンでした。「光」、「水」、「壁」、「階段」あえて言えば陰影としての「色彩」といったデザインの主要構造によって、空間の密度を上げているのを目の当たりにして、疑い深い年齢になった私も、感動でしびれました。百花繚乱の建築が咲き乱れる日本に住んでいて、単純にすばらしいといえるバラガンの建築、ロス・クルベス、ロペス邸、カプチーン派修道院、バラガン自邸、サン・クリストバル、シティタワー等を見て、日本の「花」に対してバラガンの建築は「果実」そのものなんだと思いました。バラガンは私に建築にあるべき空間の質のレベルを教えてくれたような気がします。
R・リゴレッタの事務所も訪ねることができました。いくつかの建築を見ましたが、バラガンとは建築家としての資質も違いますが、時代の要求や仕事量の違いも強く感じました。メキシコと日本では建築に要求されるものが異なるでしょうが、時代や風土を越えて私を感動させたものは、きちんと性格づけられた、自由でリアリティのある空間だったと思います。
かつていい建築というのはいい「文体」を持っていることを学びました。しかし、今はいい「スタイル」がいい建築をかならずしも保証しないことも知っています。今回の旅で見たライトのエニス邸やバーンズ・ドール邸の空間が、バラガンよりはるかに均質で流れすぎていて、存在のリアリティが希薄でした。もっと小規模のストーラー邸が良かったのは、たとえば施主の要求とのストラグルがライトの建築にコクを与えさせたものかもしれません。一方エニス邸やバーンス・ドール邸は設計者の論理で作りすぎたように思いました。
自由(軽い)とリアリティ(重い)はしばしば矛盾をおこします。しかしこれらが同居できたときに、存在感を生みだすのではないでしょうか。こんなことを思いながら毎日の仕事をしています。いま乗り越えなければならない壁を前にして、バラガンがたどりついた境地に思いをはせています。
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