新年が明けてまもなく、水廻りをリフォームしたいとの電話をいただきました。さっそく現況を見せていただきました。築30年を経た木造2階建てのお住まいでした。北側に面した浴室と脱衣室とトイレは寒く、陰気で、長居したくない所でした。
依頼者は還暦を過ぎてご主人を病気でなくしたばかりのご婦人でした。リフォームは以前からの計画でしたが、ご主人の病気の看護でのびのびとなっていました。気持ちの切替えのためにも、予定通りリフォームをしたいとのことでした。
耐震補強とキッチンのリニューアルはされていたので、浴室と脱衣室、トイレにリフォームを限り、このリニューアルでこの住まい全体の印象がガラリと変われば成功です。狭く仕切られていた間仕切りを取り、LED照明で明るく、浴室に換気暖房乾燥機の「三乾王」を仕込みました。車椅子や介護も考え、脱衣・洗面・トイレはワンルームにまとめ、「三乾王」で水廻り全体を暖かくすることにしました。もちろん水廻りの断熱性能にも万全を期しました。
住宅の要である水廻りの改修は設計の工夫の見せどころです。具体的で依頼者にも分かりやすくで、設計の手応えを感じることができます。しばらく忘れていた感覚です。というのは、最近のナウハウスの仕事は長期に渡り、書類づくりや役所への対応でとられる時間が多く、深刻なことが先立ち、喜びも長丁場で疲れ、鈍りがちでした。
きめ細かな配慮がされた水廻りは住み手に心の安らぎをもたらします。「悪いビフォアー」と「幸福なアフター」はリフォームの醍醐味です。比べるからより分かりやすい。新築の場合は比較の物差しを当てにくく、「幸福なアフター」を理解できにくい。「分かりやすいのでより喜ばれる」ということでリフォームは設計者に「実業の手応え」を与えてくれます。またリフォームは、解決すべきことが限られているため設計者に集中してパズルを解く喜びを与えてくれます。
家族の人数に見合ったテーブルやイスを選び、消費税が上がる前に洗濯機の手配もしなければなりません。リフォームによって環境を安らぎの場所に変え、依頼者の人生の新しいスタートの節目のお手伝いが出来ればいいと思っています。