株式会社ナウハウス
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ナウハウス所長の鈴木です。今何を感じ、どのように建築に向き合っているのかを伝えていければと思います。
ナウハウス一級建築士の高橋です。設計を通して感じたことや現場の進捗を気軽に綴っていきたいと思います。

〒430-0817
静岡県浜松市南区頭陀寺町330−20
TEL.053-461-3408

三ケ日の家を「隙屋」としました。
2008-01-18
敷地は浜名湖の南斜面にあって温暖な環境である。それを反映して周囲には  みかん畑が目立つ。それぞれの季節や天候、その日の時間によって変わる風景は、浜名湖の水面がそれらをさらに増幅して見飽きることがない。外洋のきれいな潮がこの沿岸まで到達しているせいかここはアサリの絶好の漁場となって、シーズン中は漁をする船で毎日のように賑わっている。台風時には外洋の濃い潮が「苦潮」となって、酸欠を誘い、スズキやタイが手づかみで取れることもあった。この恵まれた環境を最大限に生かし、湖岸の景観をかたちづくり、簡素だがしみじみと豊かさを感じられる住まいを作ろうとした。 
クライアントは建築カメラマンで、撮影のために外出しがちであるが、この住宅への訪問者も多い。東名高速道路のインターチェンジにも近く、クライアントの幅広い人脈を生かして楽しい企画ができそうである。
重装備な高断熱高気密ではなく、ここの温暖な気候の恵みを利用し、最小限のしつらえで暮らせないかという試みである。外壁は杉板〔t=18mm〕を18mmの目透かしで張り、その上に高耐候性ポリカーボネート樹脂(t=1.5 mm) 63波トーメイ をビス止めしただけである。
構造は木造軸組工法の地上二階建てとし、柱と壁・床・天井はすべて地場の天竜杉を使用した。吹き抜け上部の二ヶ所に採光と通気や排煙のための連窓を設け、オーニングによってすべての窓の開閉の遠隔操作ができる。夏季には湖面を渡る涼風を引き入れるだけで、エアコンは使用しない。
屋根は「離れ瓦」という創作瓦を使用した。隣り合う瓦の両サイドをあえて離すことによって瓦下の通気を取り、屋根面の温度を下げる。伝統の瓦技術を見直し、現代に生きる新しい機能とデザイン性を得たいと考えた。
崖地の構造物の滑り止めを兼ねた地階は外断熱のRC造で、南側の斜面のトンネルから採光と通風を得ている。このトンネルから思わぬ発見があった。地階にいると潮加減によって、潮騒の音や潮の香りがわれわれの聴覚や嗅覚を刺激することがあった。トンネルの開口が集音器の役割をして、潮騒やギターを弾けばその音色が室内へ届く。
冬季には地階の暖炉の温もりがコンクリートに蓄熱され、上階へ放熱されていくことを期待している。いずれにしろこの住宅では、少しくらいの寒さなら、寒いなりに上着をはおるように、ちょっと奥の間に行くだけ、と考えている。
「隙間だらけの納屋」が、幼年期を小田原で過ごしたクライアントの原風景にある。温暖な浜名湖の環境なら「隙間だらけの納屋」で住めるのではないかというのがこの住宅の出発点であった。この建築においてデザインのモチーフは隙間である。太陽や月を自然の中の明かりと考えれば、この隙間は外から中へ、あるいは人工照明なら中から外へと、時間の経過によって、見えないはずの構造に光を透過させスキャンする装置である。反転が空間を日常性から非日常性への飛躍をさせている。「隙屋」には今まで経験したことのない空間が生まれたが、発想が「隙間だらけ納屋」なので、どこか懐かしさを感じさせる空間であることは間違いない。

照明について
この住宅はスケルトン構造であるので、昼間時は適度の外光が入って、地階とトイレ・パントリー以外は照明を必要としない。この建物のスケルトン構造を生かし、照明器具の選択と配置を工夫して、必要とする光だけを得る努力をした。またイニシャルコスト削減のため、「ソケット+電球」で照明器具を構成して、多灯使用とした。
広間(コードペンダント)―E26磁器モーガルソケット+φ70ダイクールハロゲン球65W
 通路(フットライト)―E17レセップ+長円柱型ランプ25W
 トイレ・パントリー・洗面ブラケット―E26磁器両耳ソケット+フラットボール40W/60W
 浴室(ブラケット)―E26磁器両耳ソケット+シリコンゴムパッキン+フラットボール60W
居室・台所・食堂(スポットライト)―配線ダクト+ダイクール球スポットライト40W

また室内の中心から外部にいくにしたがって照明の照度と色温度を下げた。それは住宅の照明が既存の敷地周辺の環境に不釣合いにならないようにするためと、省エネを考慮したためである。
広間―――――――――65W / 1400lm / 3000K / 3000h
台所・居室――――――40W / 500lm / 3000K / 3000h
通路―――――――――25W / 240lm / 2600K / 2000h
アプローチ・庭園灯――10W / 70lm / 2400K  / 1500h

光源はダイクロビームハロゲン球と白熱球である。それらは省エネ上からは望ましくはないが、建築空間の豊かさも重要であるので、演色性を優先した。ささやかな省エネへの努力として、こまめに消灯できるスイッチ回路を構成し、ライトコントロールをつけて対応した。

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