40年前、ギャルリーユマニテで衝撃を受けた絵が、「カオの構造」です。
作者は森眞吾さん。勝手に私の師匠です。内覧会「汽水域に生きる」で再会した作品は、当時の自分のやり場のない状況を瞬間的に思い出させました。「肉質な壁とのS氏の一方的な対話A」はめんどくさいタイトルですが、事件に巻き込まれた森さんの心境を語り、抽象がこれほど力を持っていることに驚きます。「汽水」とは海水と淡水の混じった水ですが、そのような曖昧な境界領域の作品を総覧して、森さんの思索の精度と重さに打たれました。
碧南市藤井達吉現代美術館で8月31日まで開催しています。