ナウハウス所長の鈴木です。今何を感じ、どのように建築に向き合っているのかを伝えていければと思います。
ナウハウス一級建築士の高橋です。設計を通して感じたことや現場の進捗を気軽に綴っていきたいと思います。
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建築家カタログ
2006-10-28
建築家カタログVol.4が全国の書店で発売中です。愛知・岐阜・静岡・三重の住宅を得意とする建築家63人の紹介です。耐震強度のことが話題になっていますが、家づくりに関わる構造設計について、わかりやすい特集がされていますので参考にしてください。
63人の建築家が、それぞれ自分みずから見開き2ページに、自分の作品の写真を選び、レイアウトし、自分の建築に対する考え方を書いています。この2ページの中身の内容がなかなか濃いのです。このところ毎日わたしはこのカタログを眺めております。私は同じ建築設計をしている立場ですので、この自己紹介の文章と仕事例をくりかえし読んでいますと、それぞれの建築家のセンスや設計へのモチベーションが分かってきます。
外観も単に形とか景観とかではなく、建築の存在の仕方が現れていて、とても興味深く見ることが出来ます。デザインというものが単なる見え方ではなくて、空間の作り方が住宅の成り立ちにつながっていて、内部空間の成り立ちと外観とが整合性を持っていたい、と常々思っております。
Q&Aが面白くて、特にQ.2、Q.3と好きな建築家と建物を読みますとこの建築家の基盤を知ることが出来ます。とくに好きな建築家と建物にどんな建築家があげられているかがたいへん興味をもつところです。好きな建物はいわばその建築家の夢の次元の建築です。好きな建築家をその建築家の作品例とあわせて見ていきますと、建築家の力量をかなりの確率で知ることが出来ます。
たとえば フランク・ロイド・ライトという建築家ですが、じつは彼はたいへん学びにくい建築家なのです。「ライトがいいなー」と思って学ぼうとするとほとんど失敗します。ライトを学ぶことは実に難しいのです。私もこのことは学生時代には分からず、実務をしてから気づいたことです。ライトは余人にまねのできないグラフィックの才能があり、才能にまかせて建築を作っていたところがあります。
実際にロサンゼルスで見た、ライトのエニス邸やバーンズ・ドール邸の空間が、バラガンやカーンの空間と比べて均質でコクがありません。空間が流れすぎていているのです。よどみがないということは人の居場所がないということです。さらに、空間の存在のリアリティがないというのは、設計者の論理で作りすぎているということかもしれません。もっと小規模のストーラー邸がまだよかったのは、クライアントの要求とのストラグルがあって、それがライトの建築にコクをつけたのではないかと想像してしまいます。ライトの建築は写真で見るとすごくきれいで、空間も美しいのですが、ライトの住宅にはほとんど人が住んでいません。ロビー邸のオーナーも2年間しか住んでいないと聞いております。ライトの建築は多分にグラフィック的で、落ち着ける場が無いと思うのです。
一方、ルイス・バラガンやルイス・カーンの住宅には空き家がなく、住み手は大切にそこに住み続けているとのことです。それはその住宅にはそこに人が生活する場があり、リアリティのある空間が存在するということだと思うのです。
そんな意味で、ライトをどう評価するかで建築家の空間の認識の深さを知ることができます。物つくりというのは学んだ対象のどこを、どの次元で学んだかを自覚していなければなりません。以上のことを念頭においてカタログの作品例を見ていくと、建築家が言っていることと実際に作っているものとの関係が分かります。注目したポイントのセンスがいいかどうか、それを具現化できる腕力があるのかどうかを見極めることが出来ます。
このカタログを見て考えることは、自分自身の設計をあらためて見直すいい機会だと思っております。
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