ナウハウス所長の鈴木です。今何を感じ、どのように建築に向き合っているのかを伝えていければと思います。
ナウハウス一級建築士の高橋です。設計を通して感じたことや現場の進捗を気軽に綴っていきたいと思います。
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頭のよい子が育つ家(Ⅱ)
2006-12-28
家族がいっしょに夕食を食べ、茶の間にひとが気軽に出入りする[サザエさん]や、昭和20年代から30年代の狭いながらも楽しい我が家の「ALWAYS三丁目の夕日」に見られる情景は、食べていくことだけで精一杯の時代のことかもしれません。今は物質的に恵まれ、普通に食べていくことができる時代になりました。煩わしい、人とのおつきあいを避けて、個人だけの生活も出来そうです。しかし悲しいできごとや殺伐とした事件が起こるにつれ、このままではいけないとの思いがみんなの心の中に芽生えつつあります。ほどほどの豊かさの中で、日本の古きよき文化が見直され始めています。まず最小単位としての家族のなかに、和気あいあいとしたコミュニケーションがあり、時に応じて近所の人や友達や親戚が集まり、気持ちのいい住環境をつくるうえで、お祭りや地域の清掃といったコミュニティの大切さも理解されつつあります。
この本で取り上げられている11の例は、それぞれの家庭が実情にあわせて、家族の気配を五感で感じられるコミュニケーション空間を創意工夫したものです。[学習効果は受身で教えられるよりも、当事者が能動的に考え、応用して行くときに最大に高まる]ことを利用して、従来の勉強の「読み書きそろばん」に能動性を加味した「探求し表現し共有する」ことをそれぞれの家庭の中でできることだけを実行しているのです。
ある家ではリビングダイニングに卓球台があり、それが大テーブルの役目をしていて、ここで食事から勉強とお客さんとのティータイムまで家族のコミュニケーションがすべて行われます。もちろん卓球も子供たちは大好きです。2階の子ども室への階段はキッチンの横にあって、お母さんとは常に顔を会わせることが出来ます。都心の3階建ての狭小住宅の例では、3階の子ども部屋自体を家族団らんの場所にしていて、お父さんも着替えをすると子ども部屋に来てお茶を飲んだり、新聞を読んだりしてくつろぎます。この子ども部屋はこの家でいちばん日当たりがよく、青空が見える気持ちのいい部屋だったのです。ご両親は家族旅行の気分でこの部屋に訪れ、子供がごく自然にこの部屋で勉強している姿を見ているのです。別の例ではおじいちゃんと曾おばあちゃんと暮らしていたことのある家では仏壇が家族のコミュニケーションの「しかけ」になっていました。亡くなった二人のことを偲ぶことは[探求]であり、お線香をあげてから入試に行くことは[表現]であり、仏壇に向かって合格を報告して数々の思い出を思い出すことは[共有]なのです。また典型的なマンションの例では個室にこもらせないために[ルールをつくる]ことがしかけとなりました。子ども部屋に鍵をかけない。子ども部屋のドアは閉めない。子供の寝室と勉強部屋を分ける。お父さんが算数を教える時はお父さんが出向く。これがこの家庭のコミュニケーションの方法なのです。
コミュニケーション空間にひとつだけの正答しかないということはありません。ただ子供の生活の基盤を家全体と考えること。日本独特の、思いやりいたわりながら共存するために必要な媒体である「間」と個人主義の象徴である「壁」とのおりあいをうまくつけること。空気や視線の風通しがいいこと。家の中に回遊性を持たせること。おもてなしの場所があること。そんなことが家族の五感を刺激し、家を活性化する方法なのです。それぞれの実情に照らして問題に取り組めば、それぞれのケースにおいて答えを導き出すことできるはずです。「住まい手が芸術や花のように生き立つことができる家」が理想です。穏やかな空間のリズムを持った家族のコミュニケーション空間は、小さな寝室と大きな広間、行き止まりのない空間でつくられます。いまナウハウスはそんな住宅を設計中です。
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