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おいしい家
・軽い緊張を持って食事を楽しめる空間であること。
・夫妻の両親たちが気兼ねなく同居できる3世帯住宅であること。
・単身者用の共同住宅を併設して収入を得ながら生活できること。
敷地は150坪たらずで、第一種住居地域にある。周辺には古い住宅が密集し、雑多で不安定な景観を呈している。ローカル線の駅にも近いが、踏切の警報遮断機の音は悩みの種であった。北側の道路は冬期の北西からの季節風の通り道である。この道路を隔て、7階建の賃貸住宅もそびえたっている。
一方、駅や主要道路へのアクセスは良く、交通の便は良好である。
限られた敷地の有効活用
北側に住宅棟、西側に単身者用の低層共同住宅棟を配し、この二棟によって冬の北西の季節風から中庭を守るコートハウスとした。この庭を挟んで、キッチンからダイニング、リビングへとつながるメインスペース、夫妻の両親たちの部屋、個室群が配置されている。緑豊かな中庭の一角には露天風呂が配置され、リゾート気分に浸ることが出来る。この中庭は、さながら外部の部屋といったことを目的とする造園作法とは別の提案である。コートハウスの内部と中庭は、緊密に互いを引き立てあう関係である。全体で150坪たらずの敷地の中身はゆったりとしていて、二棟の建築物が隣接することによって敷地の有効活用を図り、デザインの相乗効果を生み出している。
・断熱
屋根はダブルルーフとし、防水と断熱を分担させて、省エネ効果を図った
・防音
踏切側には、特に防音性能を高めた単身者用の低層共同住宅を配し、警報遮断機の音から住宅棟を守る防音壁とした。
壁の配置を工夫することによって、メインスペースでは南北からの光の変化を楽しめる。刻々と変化していく光の表情は住み手を飽きさせない。隣接する単身者用の共同住宅の一室は来客の宿泊用に確保されており、住宅棟のダイニングを中心としたメインスペースと組み合わせることによってオーベルジュとしての機能を果たしている。
この家族は、時には来客を迎えて快い軽い緊張感を持って、心と体と舌でこの「おいしい家」を楽しんでいる。