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おおるり眼科クリニック
このクリニックは大井川中流の北岸の島田市にある。最長の木造橋の蓬莱橋も最寄にある。クリニックはパブリックでありたいことを基本方針とした。また敷地の形状や周囲の環境を注意深く観察して、この建築を使用する患者、スタッフ、医者と医者の家族の関係を整理し、建築の独立性と周囲との連続性を図った。
クリニックの存在を分かりやすくするゲートはSS400を素地のまま使い、サビそのものを味わいある仕上げとした。その色と素材感はゲートの視認性を良くし、グリーンと調和して美しい。このゲートは正面からはきわめて開放的で、角度をつければ大きな存在感を見せる。ゲートから診察室に至る動線軸と空間軸を一致させ、その軸の両側に駐車スペース、待合と受付、中待合と事務室、診察室と検査室をシンプルに配置した。患者とスタッフと住宅の動線は明確に分けた。ゲートと風除室を繋ぐルーフは新たな提案である。
ゆったりとした16台の駐車スペース、開放感のある待合、水溜りをイメージした中庭、ひろびろとした検査室は空間の抜けが良く、患者の気持ちをすがすがしくさせている。中庭の「にわたずみ」は雨の日にしか見ることのできない水芸を見ることができる。出かけることが億劫になりがちな雨の日の患者さんへのおもてなしである。スタッフルームもゆったりとくつろげるようにした。
一方、医者の家族の住宅はコンパクトである。広めのテラスをとって狭さを和らげるように考えた。このテラスはこの住宅の要であり、クリニックと住宅との距離感をとる上でも重要である。また職住が近接しているので、仕上を木質にしてクリニックと雰囲気をがらりと変え、気分転換を図った。