仕事例>住宅 >馬込の家
馬込の家
この家は、今まで別々に暮らしていた三つの家族が、気がねなく一緒に暮らしていけることが第一の目的であった。0歳から94歳、三世帯の8人の家族がそれぞれの生活を守りながらひとつの家に住むためには、居住スペース間の距離感をつくることがポイン
トであった。
敷地は近隣商業地域にあり、周囲は都市型住宅が建て込むことが予想された。敷地面積は限られているので、敷地を平面と考えず、「敷地いっぱいの立方体そのもの」を敷地ととらえ、それをそのまま住まいのスペースに変換することが必要であった。採光と通風、アプローチスペース、三世帯の距離感をつくるためのしかけとして、3m角の空間を「敷地いっぱいの立方体そのもの」へⅩとYとZの軸として挿入した。Y軸の両サイドの開口は防火シャッターによって開閉され、防災住宅としても有効である。
敷地は区画整理事業の終わったばかりの浜松の中心街の一端にある。その敷地は旧馬込町の公会堂と道路を隔ててちょうど相対している。浜松祭りの際には公会堂は会所となり、隣接する屋台置場からは山車が引き出される。「馬込の家」の前面をすべて駐車スペースとしたのは、祭りの際にはそのスペースのすべてを開放できるようにするためである。「ハレ」の時には祭りを盛り上げる広場として地域に参加し、「ケ」の時には緑豊かなファサ―ドを持つ「馬込の家」の駐車スペースとして街並みに潤いを持たせることができればいいと願っている。