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Body & Soul nauhaus
それほど遠くない昔の日本では、「褻(ケ)」の生活はもとより、「晴(ハレ)」の日の行事も自宅で行われていた。25年を経ると、人は人生の出来事のほとんどを経験することになる。 日常生活を過ごすべき住まいが、「晴(ハレ)」の日への対応を設計のプログラムに入れ、人間の儀式や慣習あるいは祭りなどに備えるキャパシティを持たせるというコンセプトである。
1985年に竣工したこの建物は、時間をかけて整備されていった。9年後には北棟の2階が増築され、そこに個室群が移り、事務所を地階に移した。また、22年後には中庭に手を入れ、露地なども加えられて緑豊かな自然がある。
竣工後まずこの建物で結婚式の披露宴を試みた。その後、浜松祭りの初子祝い、会社の創立総会、ジャズライブ、津軽三味線や横笛のコンサート、現場見学会の打ち上げ、そして24年目に父の告別式を行った。
この家はフロアー毎に光や素材、断面の工夫によって空間の質が与えられ、ヒエラルキーがある。人の世に節目作りは欠かせない。
そんな大事な儀式やおもてなしのためにこの家の「めでたい空間」が機能して、ささやかであるがその役目を果たした。
この家では4半世紀をかけてそれらを実践してその機能を果たし、かつての日本の習慣が、今なお生活を豊かにしてくれるものであることを確認することができた。